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聴く玉vol.5「話し手が思いを語りたくなる質問」

先月のオンラインセミナー(レポートはこちら)では、珍しく「質問」について少し取り上げることをしました。

 

というのも、「質問」というスキルはとてもパワフルであると同時にリスクも大きく、

基礎的な聴くチカラがないうちに質問しようとすると話し手を追いつめたり傷つけたりする可能性が高くなるため、

ベーシッククラスで扱うことはこれまであまりしてきてなかったのです。

セミナーで事前にもらっていた質問の中に、これがありました。

 

話し手が思いを語りたくなる効果的な質問とはどのようなものか?

質問に関する質問です(*´з`)

 

「相手のためになる質問」、っていう言い方でざくっと説明することが多いのですが

やっぱり聴き手が自分目線で何かきいてもそれは独りよがりなんですよ。

どこでそれが分かれるのか? を考えると、

やはり質問したくなるその前段階で、

それまで話してくれていることの大事な部分をきちんと受けとめて理解している、

理解してますよと伝わっている、っていう大前提がものすごく重要です。

 

わかりやすい例をあげます。

たとえばキャリア支援の場面。

 

A:一念発起して、○○っていう資格を取ったんですが、なかなか転職先が見つからなくて。

B:ああー、そうなんですね。どれくらい活動してらっしゃるんですか。

A:合格してからすぐ会社を辞めたんで、10ヶ月くらいですかね。そろそろブランクが厳しい感じになっててあせります。

B:ですよね。やっぱり転職は資格だけじゃなく強みが重要なんですけど、ご自身の強みはどんなふうに考えてらっしゃいますか?

A:えっ、強み、、、ですか、、、。

 

どうでしょう、この質問。

相談者さんのために良かれとおもってしているとしても、

プレッシャーを与える結果になってること伝わります?

 

この場合、きき手さんがやってあげたいことって

強みの自己理解以前に、

モチベーションアップだったり、

転職にかける意気込みの共有なんですよね。

それがないままに具体論に入ると、

仮にいい質問であっても全然刺さらないわけです。

 

刺さらないというのは、

その質問によって安全に内省に入ることができない。

追いつめられると人は防衛モードに切り替わりますので

自分をよく見せようといろんな言い訳を考えちゃったり、

無意識に相手を喜ばせるような回答を探したり、

恥ずかしくなって自分を責めたり、

そんな気持ちにさせられる相手に対して反発を感じたり、

そういういろいろで疲れて黙り込んだり、

してしまうわけです。

 

じゃあ、

いい質問ってなんなのか。

話し手さんが自分について振り返って、

新しい発見をして、

それによって自己解決に向けた一歩を踏み出せる。

それがいい質問です。

 

冒頭にあった「話し手が思いを語りたくなるような」、

これもいい質問、ですがちょっといろんな方向性があり

1記事で全部は無理なので、

今日は簡単に使えてパワフルなやつを一つ書きます。

 

これねえわたしが駆け出しの指導者だった時に

魔女のような先輩が言ってるのを真似しているんですが

簡単なのに奥深いんですよ。

 

それは・・・ジャジャーン。

 

単語の繰り返し+「っていうと?」っていうオープンクエスチョンです。

しかもけっこう話の最初のほうに使えるというか、

その方がいい展開になるのでやってみてください。

 

上の例でいうと、

一念発起、っていうと?

こんな感じです。

 

この質問をすると、

その職業に対してどんなに熱い気持ちで志したのか、

語ってくれそうでしょう。

 

ただしどんないい質問でも、

質問しっぱなしは全然ダメっていうことは忘れないでください。

 

質問した後は、返してくれた言葉に対して、

大事なところを繰り返したり要約したりのバックキャストはちゃんとしましょうっていうことです。

ここで、基礎的な聴くチカラが超大事ってことですね。

これがなくて次の質問とか次々繰り返しちゃうと、

 

尋問めいてくるから要注意ですよ。

 

質問を解説すると長くなるな~。

次の機会があれば、

次は少し高度な質問について書いてみたい、気持ちはあります!